ハロー大家さんを運営している弁護士の大谷郁夫です。今日から大家さんのためのブログ「大家さん通信」を始めます。
「大家さん通信」では、大家さんが知っていると役立つ法律知識や裁判実務の知識、ちょっと気になる判例などを、分かりやすく説明します。大家さんのアパート・マンション経営に役立ててください。
さて、最初の話題ですが、最近依頼を受けた事件に家賃を5年を払っていないというとんでもない借主の明渡し事件がありました。大家さんは高齢者で、それほど生活に困っていなかったことや面倒であったことなどから、家賃の滞納があっても督促しませんでした。借主は、それをいいことに、5年間も家賃の支払いをしなかったのです。
ちなみに、裁判所が賃料延滞を理由とする賃貸借契約の解除を認めるのは、3ヶ月から4ヶ月の賃料延滞があれば足りますから、5年間というのはとんでもない話なのです。
まず、大家さんの息子さんに事務所に来てもらい、詳しくお話を聞きました。
法律事務所では、事件の依頼を受けるときは、原則として本人にお会いすることになっていますので、本来は、大家さんご本人に来てもらわなければならないのですが、大家さんがご高齢であったことと大家さんの自宅が事務所から遠いことから、息子さんに代わりに来てもらいました。その代わり、ご本人とお電話でお話しし、本人に事件を依頼する意思があることを確認しました。委任状は、息子さんに持ち帰っていただき、大家さんご自身の署名捺印をしてもらった上で、郵送してもらいました。
もちろん、どうしても必要な場合、たとえば大家さんが高齢や病気のために事務所に来ることができないが、近くに身寄りがないという場合などは、こちらから大家さんの自宅に出向くことになります。相談料は、私の場合、相談からそのまま事件をご依頼になる場合は無料です。
相談時に持ってきていただくものは、借主との賃貸借契約書と家賃の支払い状況の分かるもの(たとえば家賃が振り込まれる通帳)です。「更新契約をしていないので、現在の契約書がない。」という場合もありますが、その場合は前の契約書でも結構です。物件の固定資産評価証明書、登記事項証明書、図面、借主の素性が分かるものなどがあるときは、それも持ってきていただくと助かります。
また、借主との契約を解除して貸している部屋の明け渡しを求める裁判の弁護士費用は、着手金15万円、報酬金15万円です。
着手金というのは最初に払って頂く弁護士費用で、事件の結果に関わらず返還はできません。交渉を開始してから判決が確定するまでが、この着手金15万円のカバーする範囲です。
報酬金というのは、大家さんの希望どおり借主が部屋を明渡したときにお支払い頂く弁護士費用です。いわゆる成功報酬というものです。
続きは、次回に。