高齢入居者との契約期間中の問題として、高齢入居者の孤独死があります。
まず、これは孤独死だけの問題ではありませんが、高齢入居者が亡くなっても、それだけでは契約は終了しません。当然のことながら、高齢入居者の家財道具は部屋に残っていますので、明け渡しも完了していません。
従って、大家さんは高齢入居者の相続人と交渉して契約を解除し、その上で、高齢入居者の相続人に家財道具を片づけてもらい、部屋を明け渡してもらいます。ここでやっと明け渡しが完了しますので、大家さんは、この時点までの家賃や原状回復費用を請求することができます。
ちなみに、亡くなった高齢入居者の家財道具を処分する権利は、相続人にしかありませんので、大家さんは、勝手に家財道具を部屋から撤去することはできません。
また、高齢入居者にもともと相続人がいない場合や高齢入居者の法定相続人が全員相続放棄をすると、大家さんは、契約の解除や部屋の明け渡しの交渉をする相手がいないことになります。このような場合は、相続財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てなければなりません。しかし、この手続きは簡単ではありませんので、できれば弁護士などの専門家に相談すべきです。
次に、高齢入居者が孤独死して、ご遺体の発見が遅れたような場合は、さらに問題です。遺体の発見が遅れたような場合は、部屋の中はかなり酷い状態になりますので、警察や救急隊が来て大騒ぎとなり、近隣に知れ渡ってしまうもあります。こうなると、この部屋を次に借りる人には、この事実を告げなければなりません。これを秘密にして次の人に貸した場合、トラブルになる恐れがあります。
このような場合には、ある程度の期間高齢入居者が借りていた部屋を貸すことができなくなることがあり、大家さんは損害を受けます。そこで、大家さんとしては、明渡しまでの賃料、原状回復費用、賃料の減収分を、連帯保証人や相続人に請求することを検討して下さい。自殺の場合ほどではないですが、ある程度の請求は認められるはずです。
いずれにしても、高齢者の孤独死は多発していますので、高齢者を入居させる場合は、孤独死の防止やご遺体の早期発見のための声かけや警備システムの導入などの対策を講じるべきです。