今回の判決が更新料条項を無効とした理由はどうだったのでしょうか。
まず、事案の概要を見てみましょう。
本件は、大家さんが、借家人を被告として、京都地方裁判所に未払いの更新料の支払いを求める裁判を起こしたところ、京都地方裁判所が、更新料条項は消費者契約法10条に違反して無効であるという理由で大家さんの請求を認めなかったので、大家さんが、大阪高等裁判所に控訴したという事案です。
事実関係は、次のとおりです。
賃貸物件:ワンルームマンション(鉄筋コンクリート造3階建てマンションの1部屋)
面 積 | 25.75㎡ |
---|---|
面 積 | 25.75㎡ |
間取り | 1K |
築 年 | 平成14年6月6日(その後、改築・補修なし) |
所 在 | 京都市郊外 京都市営地下鉄駅の駅からバス15分 徒歩1分 |
契約内容
契約日 | 平成18年3月3日 |
---|---|
契約期間 | 2年 |
家 賃 | 月額5万3000円(+共益費5000円) |
更新料 | 2年毎の契約更新時に10万6000円 |
更新手数料 | 1万5000円 |
敷 金 | 30万円 |
敷引き特約 |
有(契約終了時に15万円を敷引き) 敷引き以外に原状回復費の負担有り |
当事者
大家さん |
60歳を超える個人 2棟の小規模マンションの賃貸経営者 |
---|---|
借家人 |
24歳のアルバイト勤務者 大学法学部を卒業 本件賃貸借契約締結後、法科大学院入学 |
仲介業者 | 近隣の不動産仲介業者 |
この事案で、大阪高等裁判所は、次の3点から更新料条項の合理性を徹底的に検討(糾弾?)し、更新料条項を「賃借人の利益を犠牲にし、賃貸人や賃貸住宅管理業者の利益確保を優先した不合理な制度」と言い切りました。
- 更新料発生の経緯からの検討
- 更新料の法的性質からの検討
- 更新料の社会的承認からの検討
次回は、上記の3点についての大阪高裁の考えを説明します。