平成22年5月27日に、大阪高等裁判所から更新料条項を無効とする判決が出ました。これで、大阪高裁では3件目の無効判決です。大阪高裁では、更新料条項を有効とする判決も1件ありますので、現時点では、大家さん側から見ると1勝3敗です。
1勝3敗という数字もさることながら、今回の大阪高裁の判決の内容は、2年の賃貸借期間に対して、2ヶ月分の更新料を定める更新料条項を無効としたことが衝撃的でした。
そこで、これから何回かに渡って、
- 今回の判決の内容
- 今回の大家さんに与える影響、特に更新料返還請求裁判の多発の可能性
- 大家さんの対抗策
を考えてみたいと思います。
【今回の判決の内容】
更新料条項の有効性について判断した大阪高裁の判決は、過去に4件あります。
21.08.27判決 無効 賃貸借期間1年 更新料10万円(賃料月額45,000円)
21.10.29判決 有効 賃貸借期間2年 更新料賃料の2ヶ月分
22.02.24判決 無効 賃貸借期間1年 更新料賃料の2ヶ月分
22.05.27判決 無効 賃貸借期間2年 更新料賃料の2ヶ月分
最初の3件を見ると、無効判決は賃貸借期間が1年であるのに対して更新料が賃料の2ヶ月分という事案ですが、有効判決は賃貸借期間が2年であるのに対して更新料が賃料の2ヶ月分という事案です。
この3件の判決の比較から、有効判決は賃貸借期間が2年であるのに対して更新料が賃料の2ヶ月分というケースなら、何とか有効になるのではないかという安易な考えがありました。
しかし、今回の判決は、賃貸借期間が2年であるのに対して更新料が賃料の2ヶ月分というケースでも無効であるとし、上記のような考えを否定しました。
こうなってくると、最後の砦である、賃貸借期間が2年であるのに対して更新料が賃料の1ヶ月分という関東地方でよく見られるケースも無効となるのでは、という不安が生まれてきます。
私は、おそらく、近い将来、賃貸借期間が2年であるのに対して更新料が賃料の1ヶ月分というケースでも、無効判決が出るのではないかと思っています。
次回からは、今回の判決が更新料条項を無効とした理由について、検討します。