どんな時に使う?
調停は,訴訟と異なり,裁判官のほかに一般市民(弁護士もいます。)から選ばれた調停委員2人以上が加わって組織した調停委員会が当事者の言い分を聴き,必要があれば事実関係も調査し,法律的な評価や社会常識に基づいて当事者に歩み寄りを促し,当事者の合意によって紛争の解決を図る制度です。
ですから、家賃の滞納などの単純な事案ではなく、借主が騒音を出して近所から苦情が出ているので騒音を出すのをやめてほしいとか契約書には明記されていないが、ペットを飼うことをやめさせたいなどの、ある程度複雑な事案や意見の対立がある事案で、話し合いの機会を作りたいという場合に適しています。
方法、メリット、費用は?
【やり方はとうするか】
原則として紛争の対象となっている部屋の所在地を管轄する簡易裁判所に、民事調停を申し立てたいと相談してください。
そうすると、定型の書式の申立書の用紙を渡されますので、これに記入して提出してください。この用紙に必要事項を書き込めば、申立書ができあがるようになっています。
書き方が難しいところもありますが、民事調停の申し立てなので、多少不正確な記述でも認められますので、裁判所の窓口の職員に質問しながら、記入していってください。
なお、民事調停の申立をする場合には、裁判所に収入印紙と切手を納付する必要があります。
利点は何か
民事調停の申立書を提出すると、裁判所が調停期日を指定して申立人(大家さん)と相手方(借主)に連絡します。この調停期日は、申立書を提出してから1カ月後くらいに開かれます。調停に出頭するかどうかは、相手方(借主)の自由ですので、調停期日に相手方が来なければ、調停はそのまま終わってしまいます。
これに対して、相手方が出頭した場合は、調停委員が、当事者双方から交互に言い分を聴きます。この後は、1ヵ月に1回のペースで調停期日が開かれます。こうして当事者の言い分を聞いた調停委員は、当事者の合意によって紛争の解決が図れるように、当事者に歩み寄りを促し、あるいは調停案を提示します。この結果、調停での話し合いがまとまれば、調停が成立します。
このように、民事調停は、判決などとは異なり、当事者双方がある程度納得できる紛争解決となります。
次に、民事調停では,訴訟と異なり、当事者はある程度自由に意見を述べることができます。また、公平な第三者であり専門家でもある調停委員の意見が聞けますので、自分の意見が裁判になったらどう評価されるかなど、方針や結論や決めるうえで有用な情報を得ることができます。
なお、成立した合意の内容を記載した調停調書は確定した判決と同様の効力を持ち,これに基づき強制執行を申し立てることもできます。
費用はどれくらいかかるか
① 裁判所に納める郵便切手
相手方が1人であれば、2,500円分の郵便切手を裁判所に納めます。
② 裁判所に納める収入印紙
民事調停で求める事項の金額によって異なります。
民事調停で求める事項が建物の明渡しの場合は、建物の固定資産税評価額の2分の1の金額が基準となります。例えば、固定資産税評価額が800万円のマンションの明渡しを求める場合は、800万円の2分の1に当たる400万円が基準となり、12,500円の収入印紙を裁判所に納めます。
また、民事調停で求める事項が、借主が騒音を出さないようにすることの場合は、金銭に換算することができませんので、その金額を160万円とみなして、6,500円分の印紙を裁判所に納めます。
③ 弁護士に少額訴訟を依頼した場合の弁護士費用
事案の難易度によりますが、少なくとも105,000円くらいかかります。