どんな時に使う?
支払督促は、金銭などの請求について,債権者(請求する人)の申立てにより、裁判所が支払督促(「お金を払え」という裁判所からの命令書を送ること)をする手続であり,裁判所からの支払督促を受け取った債務者(支払う人)が2週間以内に異議の申立てをしなければ,裁判所は,支払督促に仮執行宣言(強制執行をしてもよいという許可のようなもの)を付さなければならず,債権者はこれに基づいて給料差押えなどの強制執行の申立てをすることができます。
たとえば、借主が月額10万円の家賃を3カ月分滞納している場合、大家さんは、30万円を請求する支払督促を申立てることができ、この申立てを受けた裁判所は、借主に30万円の支払督促の書類を送ります。
借主がこの書類を受け取ってから2週間以内に異議申立てをしないと、裁判所はこの支払督促に仮執行宣言を出します。仮執行宣言というのは、先ほど説明したとおり、請求している30万円について強制執行をしてもよいという裁判所の許可のようなものですから、仮執行宣言が出たならば、借主の給料の差押えなどの強制執行をすることができます。
方法、メリット、費用は?
やり方はどうするか
少額訴訟の場合と同様に、借主の住所地を管轄地とする簡易裁判所を探し、その簡易裁判所に出かけて、窓口で督促手続をしたいと相談してください。通常は、借主の住所は、貸している部屋ですから、貸している部屋を管轄地とする簡易裁判所に行くことになります。
そうすると、定型の書式の申立書の用紙を渡されますので、これに記入して提出してください。この用紙に必要事項を書き込めば、申立書ができあがるようになっていますが、少額訴訟の訴状の用紙よりは、少し書き方が難しいかもしれません。それでも、分からないことがあれば、窓口にいる裁判所の職員に聞けば教えてくれますので、なんとか書きあげることができると思います。
なお、督促手続の申し立てをする場合には、裁判所に収入印紙と切手を納付する必要があります。
利点は何か
支払督促の場合、債務者が支払督促に対し異議を申し立てると,請求額に応じ,地方裁判所又は簡易裁判所の民事訴訟の手続に移行します。つまり、債務者の異議申立があると、通常の民事裁判になってしまうのです。
「な~んだ。だったら最初から少額訴訟にすればいい。」と思うかもしれませんが、少額訴訟は60万円までの請求という制限がありますので、この金額を超える請求には使えません。
また、何といっても、督促手続の利点は、書面だけでできるというところです。少額訴訟の場合、簡単に訴えを起こせますが、必ず1回は審理がありますので、その日に裁判所に行き、証拠などを提出しなければなりません。
これに対して、支払督促の場合は、申立てから仮執行宣言までの間に債務者から異議が出ななければ、1度も裁判所に行かずに、裁判所に書面を送るだけで強制執行ができるようになるのです。
費用はどれくらいかかるか
① 裁判所に納める郵便切手
債務者(支払う人)が1人であれば、1,200円分の郵便切手及び官製はがき1枚を裁判所に納めます。
② 裁判所に納める収入印紙
請求する金額によって異なります。 たとえば請求する金額が30万円を超え40万円万の場合、2,000円の印紙を裁判所に納めます。
③ 弁護士に少額訴訟を依頼した場合の弁護士費用
通常105,000円くらいかかります。